練習方法・上達のコツ・教室選びまで徹底解説
■ 子どもの頃に憧れた「夢の曲」を、大人の今こそ
リストの《愛の夢》第3番——。
テレビCMや映画、結婚式など、日常のどこかでこの美しい旋律に出会ったことがある人は多いのではないでしょうか。
そのロマンティックで豊かな響きは、多くの人の心を掴み、「いつか弾いてみたい」と思わせる力をもっています。
ですが、譜面を見てみると意外に難しそう。
「子犬のワルツなら弾けたけど、リストはちょっと…」と、不安に感じてしまう方もいるかもしれません。
けれど実際には、大人になってから《愛の夢》に挑戦する方が年々増えています。
YouTubeでも、
- 「ピアノ再開2年で愛の夢に挑戦」
- 「60歳からピアノ再開、念願の愛の夢」
- 「子どもの頃は手が届かなかった曲を、大人になって叶える」
といった動画が多数投稿され、再生数も高く、コメント欄も励ましにあふれています。
大人だからこそ、じっくり取り組める。
大人だからこそ、表現できる。
「愛の夢」は、大人が弾くからこそ本当の意味で輝く曲なのです。
■ 《愛の夢》第3番の難所と練習の戦略
この曲にはリストらしい詩情と技巧が詰まっており、その両立が最大の魅力でもあり、挑戦する価値のある理由でもあります。
● 冒頭の“左右交互の旋律”をどう歌わせるか?
最大の難所のひとつが、冒頭に現れる左右の手で交互に奏でる旋律です。
チェロのような深い息づかいでうねるこの旋律を、滑らかに、そしてひとつながりに聞かせるには、高度な耳とバランス感覚が必要です。
練習のヒント:
- 片手ずつメロディを抽出して、「旋律だけ」を意識して弾いてみる
- 指番号よりも、音の流れと呼吸感を優先して運指を工夫
- 録音を活用して、左右の「つながりの精度」を客観的に確認
重要なのは「右手のメロディ」「左手の伴奏」ではなく、両手が一体となって“ひとつの旋律”を創るという意識です。
● 音階・アルペジオの基礎:変イ長調(A♭ major)に慣れる
《愛の夢》第3番の主調は**変イ長調(A♭ major)**です。♭が4つつくこの調性は、ピアノ学習者にとっては少し見慣れないかもしれませんが、ロマン派の作曲家たちにとっては“特別な調”としてしばしば用いられたものです。
実は変イ長調は、「愛」や「情熱」、「献身」といった感情を象徴する調性として認識されていました。たとえば:
- ショパン《前奏曲 変イ長調(Op.28-17)》は、穏やかな幸福感と深い愛情を湛えた小品。
- シューマン《献呈(Widmung)》もまた変イ長調で書かれており、まさに情熱的な愛の告白として知られています。
こうした背景を知ると、《愛の夢》第3番の音世界もより深く味わえるはずです。リストがこの調性を選んだのは偶然ではなく、曲全体に一貫して流れる“理想化された愛”のイメージを反映しているのでしょう。
基礎練習のコツ:
- ハノンなどでA♭メジャーのスケールとアルペジオを集中して反復
- アルペジオ跳躍のフォームを、リラックスした状態で安定させる
- 左手は特に跳躍が多いため、ポジション移動の意識トレーニングも効果的
● カデンツァ部分の攻略:歌わず整理、スタッカート練習で分離を明確に
中盤〜終盤の華やかなパッセージ(いわゆる“カデンツァ”風)は、華麗さを印象づけるポイントですが、ここは“歌う”というよりも「整理して正確に弾く」ことが最優先です。
実用的アプローチ:
- 指の動きの型(パターン)を視覚的に分類
- スタッカートで一時的に弾くことで音の輪郭をはっきりさせる
- リズムを崩さず、スローテンポで練習してから速度を上げる
※特に、音が詰まって見える箇所は「どの音が属和音でない“装飾音”なのか」を意識して整理することで、体の無駄な力も抜けてきます。
■ 表現のクライマックス:中間部の右手オクターブ
この曲の感情的な頂点は、中間部の右手オクターブによる旋律にあります。
ここで「フォルテ=叩く」と誤解してしまうと、旋律が潰れてしまい、せっかくの歌が“叫び声”になってしまいます。
表現のためのポイント:
- オクターブでも“芯のある温かさ”を出す意識
- 強く弾いても音色は優しく保つようにする
- 一音ごとの音価や響きを意識し、メロディラインを歌い込む
ここは、「ただ大きな音を出す場所」ではなく、人生の深さや内なる情熱を表現する“音の頂点”です。
■ 《愛の夢》に向けた導入曲〜リスト作品から選ぶなら
リストの作品は、中・上級者向けの技巧的なものが多い一方で、“愛の夢への足がかり”として適切な短い作品も存在します。
ただし、エリーゼのように知名度が高く万人に親しまれているものは少ないため、導入曲の選定には注意が必要です。
おすすめの「準備曲」候補:
- 《コンソレーション 第3番》:穏やかで歌心を養える。愛の夢に通じる表現力を磨くのに最適
- 《小品集「忘れられたワルツ」より第1番》:難度がやや低く、愛の夢より手が届きやすい
ただし、いずれもクラシックに親しみのある方でないと、知名度の低さにモチベーションが落ちる可能性も。
その場合は、愛の夢に直接向かうか、ショパンのノクターンやベートーヴェンの「悲愴」第2楽章など、感情をこめやすい曲を経由するのも有効です。
■ 教室選びのポイント:夢に寄り添ってくれる先生と出会う
● 通いやすさ
アクセスの良さは習慣化の第一歩。駅近かつ車でも来やすい環境が理想です。
ハリーピアノ教室はこの点でも優れており、仕事帰りや休日の通学にも便利です。
● 明朗会計と続けやすさ
教室によっては時間帯や曜日で料金が変わることがあります。
ハリーピアノ教室では一律料金制のため、安心して予定を立てやすく、長く続ける上でも大きなメリットになります。
● 中上級レベルに対応できる講師がいるか?
《愛の夢》は“美しい”だけでなく“難しい”。
その両面を指導できる講師が在籍していることは必須条件です。
ハリーピアノ教室では、リスト作品やロマン派の表現技術に精通した講師が複数名在籍し、目標に合わせた丁寧なサポートが受けられます。
● モチベーションを支える指導方針
「それは無理です」と否定するのではなく、「その夢を叶えるために、いま何をするか」を一緒に考えてくれる教室が理想です。
ハリーピアノ教室では、“やりたい”気持ちを尊重し、実現へのロードマップを設計してくれる体制が整っています。
■ まとめ:愛の夢は、いま挑むべき曲
《愛の夢》第3番は、人生の重みと柔らかさを同時に響かせる、極めてロマンティックな名曲です。
それは、大人になった今だからこそ表現できる“深みのある音楽”ともいえるでしょう。
指の技術、フレーズの整理、感情のこもった打鍵。
どれも時間はかかるかもしれませんが、それを支えてくれる先生と環境があれば、きっとあなたの「夢」は音になる日が来るでしょう。
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