コードを押さえるたびに手が痛くなったり、動きがぎこちなかったりしませんか?
それは「音楽的センスがないから」ではありません。
多くの場合、原因は「身体の使い方」にあります。

特にピアノやキーボードでコード弾きが苦手な人は、指そのものよりも、腕・肩・姿勢全体を見直すことで一気に弾きやすくなることがあるのです。本記事では、コード演奏の壁を超えるための「身体動作の改善」に焦点をあて、練習のコツをご紹介します。


1. 姿勢がコードの精度を決める

まず見直したいのが「座り方」です。椅子が高すぎると腕に無駄な力が入り、低すぎると指先が潰れます。
理想は、肘が鍵盤と同じ高さか、やや高めになる程度。

また、座る位置が前すぎると腰が丸まり、背中が硬直します。鍵盤に対して軽く前傾するくらいの「腰を立てた姿勢」が基本です。呼吸もしやすくなり、音にも柔らかさが生まれます。


2. 手を動かすのではなく「腕を運ぶ」

コードを押さえるとき、指だけでキーを押していませんか?
その動きは疲れやすく、速いコードチェンジに対応できません。
ポイントは、「指を動かす」のではなく「腕を運ぶ」こと。

肩から腕全体を使ってコードポジションのエリアに手を移動し、そこで軽く指を落とすようにして音を出します。
指はあくまで“音を出すトリガー”にすぎません。演奏の主導権は腕全体が握っています。


3. 「押さえる」のではなく「乗せる」

コード演奏がぎこちない人の多くは、指でガチガチに押さえつけようとしています。しかし実際には、手の重みを「乗せる」だけで、十分に音は鳴ります。

力を抜いて、腕全体の重さを指に預けるイメージ。
特にコードを連続して弾くときは、ひとつひとつの押さえ方を「重みを置く動作」としてとらえることで、滑らかに移行できるようになります。


4. コードチェンジは“型”で覚える

コードを指1本ずつ切り替えていると、テンポが上がると対応できません。
「手の型」を体で覚えることが重要です。

たとえばC → F → G → Cのような定番進行を、目をつぶってでもスムーズに弾けるようにする指を動かすのではなく、「手の形ごと移動させる」意識を持ちましょう。

一種の“運動記憶”で、ピアノをスポーツのように考えると上達が早くなります。


5. 練習で意識したいこと

  • 鏡を見てフォームを確認する(猫背や肩の力みに注意)
  • 録画して自分の動作を客観的に見てみる
  • 力が入る瞬間(例えばG7などの押さえにくいコード)を分析する
  • 一日数分でも、身体に負荷のない「フォーム練習」の時間を設ける

まとめ

コードが押さえられないとき、多くの人は「もっと練習しなきゃ」と思いがちです。
でも実は、身体の動きそのものに無理がある状態でいくら練習しても、かえって壁を厚くしてしまうこともあります。

正しい姿勢、脱力した腕の運び、重さを使ったタッチ――これらを意識するだけで、驚くほど自然にコードが弾けるようになります。音楽は「音」以前に「身体」から始まっていることを、ぜひ体感してみてください。


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